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年をとること―骨のレントゲン写真の観察から―

 当院は診療科目に外科や整形外科を入れてあるせいか肩凝り、首筋の凝り、四十肩、五十肩、ぎっくり腰、膝の痛み、坐骨神経痛などを訴えて来られる患者さんが多い。その診断と治療に欠かせないのが骨のレントゲン撮影である。
 写真を見ているといろいろなことがわかる。まずレントゲンで何を見るのかというのが問題である。一般的には骨折、脱臼、腫瘍などで骨が壊れていないか、などを見るがそれ以外にもいろいろな情報がある。
 すぐ目に付くのが脊椎の歪みである。頚椎でも右に傾いたり、左に傾いたり、胸椎の側弯症は意外に多い。顔の軸と首の軸が一致しないこともある。腰椎骨盤では腰椎の中心軸と仙骨の中心軸つまり、骨盤の中心軸が一致しないこともある。そんなときは大体左の骨盤と右の骨盤の高さが一致しないことが多い。つまり骨盤の下がっている側の足はその分だけ長くなり、左右の足の長さに差が出てくる。
 また団扇(うちわ)のような骨盤の左右の腸骨の大きさが右と左で違うこともよく見る所見である。本来同じ大きさの骨であるから、左右の骨の大きさが違うということは骨盤が左右いずれかに捩れていることを意味している。具体的には大きく見える骨の側に骨盤が捩れていると考える。また骨盤の前の方、すなわち恥骨のところに閉鎖孔という眼鏡のような穴が左右に見える。その大きさにも左右差が見えることがある。多くの場合その穴の大きさが小さく見える側に骨盤は歪んでいる。腰痛や坐骨神経痛、股関節や膝の痛みなどがこのような所見と関連している。
 背骨を正面から見ると、真ん中に太く細長い線や楕円形に見える玉が必ず一つずつ首の上近くまで並んで見える。これは背骨のとんがりで棘突起という。本来背骨の中心に並ぶべきであるが、これも左にずれたり、右にずれたりすることが多い。つまり背骨が右に捩れたり左に捩れたりしているのである。これが頸椎に起こると頭痛や眩暈を起こし、寝違えのように首が回らなくなることもある。また四十肩、五十肩の原因にもなっている。顎関節症も頸椎の捻れによると私は考えている。
 背骨を横から見ると真四角に近い。そして背骨と背骨の間に隙間が見られそこに椎間板がある。その間隔が広いということは椎間板が厚く、クッションが効いた状態にあることを意味している。つまり新しいふかふかの座布団のイメージである。それが狭いと椎間板が擦り切れて薄くなっていることを意味する。つまり煎餅座布団になっている。老化が進んでいるのである。年を重ねた人の背骨では四隅に角が生えたようにとがって変形し、輪郭もぼけてくる場合がある。極端な場合、鍾乳石のように上下の骨の角が伸びてくっついてしまうこともある。そうなると背骨が一本の竹の棒のようになり、曲げたり、捻ったりすることが難しくなる。同じ姿勢で前を向いて仕事を続けていてそのまま固まってしまったのではないかと思われる人もいる。
 なぜ骨が捩れたり曲がったりするのだろうか。人間には利き腕と効き足があり、左右では筋肉の使い方が違う。また同じ姿勢を続けると、背骨も一定の方向に捩れて固定されることが多くなり、年とともに骨盤の歪みや背骨の捩れが蓄積されると考える。その上骨を動かすことが少ないと関節の曲げ伸ばしや、捩れの動きが少なくなり、骨の周囲に石灰がたまって骨が変形してくるのではないかと考える。金属の部品に例えると骨がさび付いてきたのである。
 このように年をとる事は、レントゲンで見ると骨の錆や捩れ蓄積のため関節の動きが狭まっていく変化と見ることができ、これらの所見を手がかりに治療を施している。骨の歪みやねじれを矯正することで関節の動きを広く保つことが老化による運動機能の衰えを防ぐことにもなると考えている。

テーマ : 医療・病気・治療
ジャンル : 心と身体

プロフィール

仲原靖夫

Author:仲原靖夫
昭和51年広島大学卒業、中部病院で外科の研修を終え、八重山病院、アドベンチスト・メディカルセンター、ハートライフ病院、屋比久産婦人科小児科東洋医学センターで西洋医学と東洋医学を併用した診療を続けてきた。現在、『仲原漢方クリニック』(沖縄県那覇市牧志)院長。

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東洋医学の雑記帳

仲原漢方クリニック院長のドクター仲原が、1992年から2001年まで、週刊レキオに東洋医学、漢方関連の記事を掲載していたものをまとめた本です。現代西洋医学と東洋医学の病気の考え方の違いや漢方についてわかりやすく解説されています。 冷えの害、不定愁訴について、漢方で癌は治せるか、リウマチと漢方、肩こりについて、風邪について、偏頭痛、不眠、関節痛、自律神経失調症など。

定価:1,000円(税込価格)

発行:(株)週刊レキオ社
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