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携帯のやりすぎで悪心・嘔吐

 近頃では吐き気など消化器症状を訴えて来院する子供たちが多い。学校に行く前に腹痛や吐き気が起こり、登校できないという訴えで来院するのである。そのような訴えの背景には学校に行くことがストレスであるような何らかの負担があって起こっているような印象がある。そこでストレスに関連したようなことがないのかを子供たちに聞くのである。ストレスがあると交感神経の緊張により胃腸の働きが抑制されてこのような症状が起こると考えて治療するのである。
 最近意外な事例があった。朝起きて悪心・嘔吐があるのに学校が嫌ではないというのであった。そこでひょっとしたらと思いついて何時まで携帯をいじっているのと聞いたら、午前1~2時までというではないか。そこで携帯のやりすぎで睡眠不足になり症状が起こっているのではないかと考えた。そして携帯使用時間を10時までに制限するように指導した。もちろん悪心嘔吐に有効な漢方薬を処方したうえでのことである。一週間後に来院したら症状はすっかり良くなっているという。
 若い人たちのライフスタイルはどんどん変化している。その変化の中で新たな病気の原因があらわれ、症状が起こっている可能性を考慮しないと原因が特定できず、予防のための生活指導が的確でなくなる。そして治療効果も上がらないのではないかと考えさせられた。
 従来の悪心嘔吐は精神的ストレスが多くの場合原因であったが、このたびの悪心嘔吐は睡眠不足が新たな原因であった。
 問題は高齢の医師が若人のライフスタイルをイメージできるかということである。若者との交流の少ない私にとってその課題はハードルが高そうである。

テーマ : 医療・病気・治療
ジャンル : 心と身体

プロフィール

仲原靖夫

Author:仲原靖夫
昭和51年広島大学卒業、中部病院で外科の研修を終え、八重山病院、アドベンチスト・メディカルセンター、ハートライフ病院、屋比久産婦人科小児科東洋医学センターで西洋医学と東洋医学を併用した診療を続けてきた。現在、『仲原漢方クリニック』(沖縄県那覇市牧志)院長。

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東洋医学の雑記帳

仲原漢方クリニック院長のドクター仲原が、1992年から2001年まで、週刊レキオに東洋医学、漢方関連の記事を掲載していたものをまとめた本です。現代西洋医学と東洋医学の病気の考え方の違いや漢方についてわかりやすく解説されています。 冷えの害、不定愁訴について、漢方で癌は治せるか、リウマチと漢方、肩こりについて、風邪について、偏頭痛、不眠、関節痛、自律神経失調症など。

定価:1,000円(税込価格)

発行:(株)週刊レキオ社
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