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最近経験した手荒れの二つの原因

 手荒れの代表的な病名は主婦湿疹である。より専門的には指掌角皮症という病名になる。つまり指や掌の皮膚が乾燥して硬くなり痒みを訴える。すなわち皮膚が厚く肥厚して乾燥している状態をいう。すると湿度が下がり乾燥する季節、秋から冬にかけて悪化し、皮膚がひびわれすることもある。その結果、家事を極めて不快なものにする。体の病理的変化では乾燥すると虚熱が起こるので、手は何となく火照って乾燥する。このようなとき滋陰清熱すなわち組織に潤いをあたえ、熱をさますはたらきの漢方薬を使う。また乾燥して血流が悪くなるので血流を増やして手先の血の廻りを良くする補血の作用のある漢方薬を併用する。具体的には加味逍遥散(かみしょうようさん)、四物湯(しもつとう)を組み合わせると比較的よく治る。紅斑の程度が強い場合、すなわち炎症が強いときは、四物湯を温清飲(うんせいいん)にかえるとよい。さらに外用薬としては紫雲膏(しうんこう)を塗ると比較的早く軽快する。
 このように手荒れの病態の原因は陰虚や血虚、すなわちこの場合は手足が乾燥し、血流が悪くなっているということになる。最近興味深い原因の手荒れを二例経験した。
 一例目は60代の女性で、指先が乾燥してがさがさになっているという。一般的な治療をしていたがどうも指が冷たく、指先に小さな皮膚の欠損を認める。指の血の巡りがかなり悪いのではないかと考え、冷たいものにふれると手の指が白くなるのではないかと聞くと、紫色に変わるという。いわゆるレイノー症状のような血液循環の異常が起こるのであるが、ロウソクのような白ではなくチアノーゼ様の紫色に変わる点が少し違う。いずれにしても寒さにたいして指の血管の神経が過敏に反応して血流が悪くなることが確認できた。いわゆる霜焼けのような状態になることがわかった。何か体を冷やすようなことをしていないか尋ねたら、特にそういうこともないという。何を飲んでいるかと聞いたら、最近沖縄に引っ越してきて、暑いから氷水を持ち歩いて飲んでいるという。それが一番わるいのでやめるように指示した。漢方薬は末梢循環が悪くて手足が冷えるときに使う当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)を併用することにした。
 二例目は産後一年目の母親である。手があれるということで治療していたが、あまり元気もなさそうで顔色もよくない。手荒れの原因についてはよくわからなかったが、よく聞くと子供は一歳になるのにまだ離乳食を始めていないという。まだ完全母乳で育てているという。あんな大きな子に母乳ばかりで育てていると、自分の体の栄養と水分が吸い取られ元気がなくなるのは当然であり、体の水分も不足して手があれるのではないかと説明し、離乳するように勧めた。その時母親が言うのに、そういえば前に手があれたのも前の子に授乳している時であったといった。そこでその手荒れの原因が、授乳により母体の水分や栄養が吸い取られ、手の循環が悪くなった結果起こったことが推測された。まさか授乳が、陰虚や血虚の原因になるとは思いもよらなかった。漢方的な病態認識により病気を観察すると意外な発見がある。
プロフィール

仲原靖夫

Author:仲原靖夫
昭和51年広島大学卒業、中部病院で外科の研修を終え、八重山病院、アドベンチスト・メディカルセンター、ハートライフ病院、屋比久産婦人科小児科東洋医学センターで西洋医学と東洋医学を併用した診療を続けてきた。現在、『仲原漢方クリニック』(沖縄県那覇市牧志)院長。

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東洋医学の雑記帳

仲原漢方クリニック院長のドクター仲原が、1992年から2001年まで、週刊レキオに東洋医学、漢方関連の記事を掲載していたものをまとめた本です。現代西洋医学と東洋医学の病気の考え方の違いや漢方についてわかりやすく解説されています。 冷えの害、不定愁訴について、漢方で癌は治せるか、リウマチと漢方、肩こりについて、風邪について、偏頭痛、不眠、関節痛、自律神経失調症など。

定価:1,000円(税込価格)

発行:(株)週刊レキオ社
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