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ロコモ(Locomotive syndrome)

 ロコモとは「locomotive syndrome」のことで、「運動器の衰え、障害(加齢、生活習慣)によって要介護となるリスクが高まる状態」とある。年をとって足腰が衰え、次第に日常生活が制限されついには介助が必要となる前の状態である。それはまだ他人事であると思っていたら、その兆候が我が身にも起こっていることを知り愕然とした。
 それは昨年の連休に本土の観光ツアーに出かけた時の事であった。バスツアーは長時間バスに乗り、ときどき休憩所で小用を足すためパーキングで少し歩く程度でほとんど動かないのが通例である。長時間足を使わないのでバスを降りるとき足元が心もとなく感じていたら、地面に足をついたとき突然よろけることがあった。それから手すりを掴まえ腕で体重をしっかり支えて降りないと転びそうになった。観光地に着いて観光のため長い下りの階段を降りるとき脚力の衰えを感じ、いよいよ自分にも来るべきものが来たと感じ、周囲の景色のうつくしさも半減したのであった。年をとれば足腰が衰えるのは当然の自然の流れと患者さんたちにも説明していたのだが、64歳の自分にその兆候が具体的に表れてきたのは大きなショックであった。
 考えてみればマンションで生活し、通勤は自家用車、仕事はデスクワークでほとんど歩かない。万歩計をつけてみたら何と一日2千歩であった。半ドンや休みの日はできるだけ歩くようにしているのだが、それもだんだん億劫になってきていた。そしてウォーキングにも出ないことが目立ってきていた。その結果が観光ツアーで下りの階段で往生する結果になったのであった。
 その後脚力の強化を図るため三浦雄一郎氏のまねをして脚に1.5キロの重りをつけて歩いたら、左膝が痛くなり、逆効果であった。ウォーキングの回数を増やし、歩行距離をのばすと関節痛がひどくなり、無理はできないと悟る。脚力の衰えをテストする片足立ちをしたら普通の高さの椅子ならなんとか立てたが、少し低くなると立てない。そこで片足立ちを練習し続けたら少し低くても立てるようになった、次にやったのは片足横とびである。距離を少し広げて仕事の合間にその場で続けているが少し脚力の強化に役立っているようではある。しかしこれもやりすぎは禁物である。運動しないと脚力が衰え、やりすぎると痛めてこれも逆効果。微妙な適正負荷を求めて脚力を鍛える毎日である。
 脚力の低下はいつから起こってきたか、振り返ってみると発端は仕事の最も忙しかった40代であった。長いことランニングをしない期間があって久しぶりに走ったら、百メートルの全力疾走ができなくなっていた。そのうち鍛えればまた走れるようになると高をくくっていたら、年と共にどんどん速く走れなくなってきた。それでも時々ランニングをすれば年をとっても脚力は維持できると思っていたらそうではなかった。これからは日々脚力の衰えとの戦いであると覚悟しなくてはならないことが明らかになった。
 東日本大震災の時避難された方たちは、被災直後しばらくはすることもないので、横になって過ごしているうちに気が付いたら歩行が困難になっていたということがあっちこっちで起こったに違いない。そしてそれは高齢になるほどその影響は強くなるのは当然である。他人事ではなかった。
 脚力の衰えを漢方では腎虚とみるが、漢方薬の牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)は普段から飲んでいたがあまり目立った効果を上げていなかったように思う。やはり筋力の維持には適切な運動負荷をかけることが不可欠であると改めて身を以て確認している。
 また以前は年をとるとあまり動かないから必要なカロリーが少なくてもよいと漠然と考えられてきたが、筋力を維持するという面から考えると蛋白質はしっかり摂る必要がある事が最近は強調されるようになった。特に独り暮らしになると面倒だからと食事を抜いたり、炭水化物中心で蛋白質が少なかったりすることが想像される。栄養は特に注意する必要があると改めて強調したい。

テーマ : 医療・病気・治療
ジャンル : 心と身体

プロフィール

仲原靖夫

Author:仲原靖夫
昭和51年広島大学卒業、中部病院で外科の研修を終え、八重山病院、アドベンチスト・メディカルセンター、ハートライフ病院、屋比久産婦人科小児科東洋医学センターで西洋医学と東洋医学を併用した診療を続けてきた。現在、『仲原漢方クリニック』(沖縄県那覇市牧志)院長。

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東洋医学の雑記帳

仲原漢方クリニック院長のドクター仲原が、1992年から2001年まで、週刊レキオに東洋医学、漢方関連の記事を掲載していたものをまとめた本です。現代西洋医学と東洋医学の病気の考え方の違いや漢方についてわかりやすく解説されています。 冷えの害、不定愁訴について、漢方で癌は治せるか、リウマチと漢方、肩こりについて、風邪について、偏頭痛、不眠、関節痛、自律神経失調症など。

定価:1,000円(税込価格)

発行:(株)週刊レキオ社
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