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高齢者の排尿困難

 高齢化社会になり元気な高齢者も増え外来にもいろいろな訴えの方が見える。その中の一つに排尿困難がある。高齢者の男性の排尿困難の原因は前立腺肥大症のことが多い。前立腺肥大症もある程度大きくなると手術適応となることが多いが、極端な高齢になると手術のリスクを考慮してか薬物療法で済ます傾向がみられる。それではあまり効果がないのか、漢方で何とかならないかと来られる方もいる。ところが漢方でも老人の頻尿に使用する八味地黄丸(はちみじおうがん)などを処方してもあまり喜ばれないことが少なくない。
 ある患者さんの場合は便秘を合併していたため便秘の漢方薬を処方した。よく聞いてみると普通の下剤では強すぎて困るというので、これは虚証の便秘であることが分かった。
 虚証の便秘は腸の蠕動運動が弱くて便を押し出すことができないので、強い下剤を使うと便は出るものの、後はぐったりして気分が悪くなるので普通の下剤を使いたがらない。ところが漢方では腸の動きを活発にし、腸を温め腸の動きをよくした上で、弱い下剤を併用するとスムーズに便が出る処方の組み合わせがある。
 そこで膀胱の排尿の神経と直腸の排便の神経は共通であるから、便秘の治療でひょっとしたら排尿も改善するのではないかと考え便秘の治療を行ったところ、以前よりスムーズに尿が出るようになったと喜ばれた。全く問題がないとは言わないがかなり喜んでもらえる程には改善した。
 腸の運動を活発にするのは補中益気湯(ほちゅうえっきとう)や大建中湯(だいけんちゅうとう)、老人のコロコロ便の便秘に使うのは麻子仁丸(ましにんがん)、これらを組み合わせると腸の元気のない便秘の人の排便がスムーズになるのでありがたがられる。そのうえ排尿迄楽になるので一石二鳥ということになる。

テーマ : 医療・病気・治療
ジャンル : 心と身体

プロフィール

仲原靖夫

Author:仲原靖夫
昭和51年広島大学卒業、中部病院で外科の研修を終え、八重山病院、アドベンチスト・メディカルセンター、ハートライフ病院、屋比久産婦人科小児科東洋医学センターで西洋医学と東洋医学を併用した診療を続けてきた。現在、『仲原漢方クリニック』(沖縄県那覇市牧志)院長。

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東洋医学の雑記帳

仲原漢方クリニック院長のドクター仲原が、1992年から2001年まで、週刊レキオに東洋医学、漢方関連の記事を掲載していたものをまとめた本です。現代西洋医学と東洋医学の病気の考え方の違いや漢方についてわかりやすく解説されています。 冷えの害、不定愁訴について、漢方で癌は治せるか、リウマチと漢方、肩こりについて、風邪について、偏頭痛、不眠、関節痛、自律神経失調症など。

定価:1,000円(税込価格)

発行:(株)週刊レキオ社
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