頻尿の原因がわからない

 昼も夜も一時間おきにトイレに行くが原因がわからないという女の子が来た。婦人科、泌尿器科、心療内科にも行ったが検査で異常はみとめなかったという。
 少しやせ気味で顔色はあまりよくない。下半身が冷えるという。冷たいものやコーヒーなど体を冷やす飲み物を摂っている。生理不順で生理痛もひどい。
 頻尿の原因で最も多いのは膀胱炎である。膀胱炎では尿が濁り、排尿痛が強いが、この女の子の場合排尿痛はなく、尿も濁っていなかった。尿が濁っていない頻尿の場合は精神的な要因を考えるのが一般的である。精神的なものからくる頻尿は起きている時だけに起こり、寝ている夜間に頻尿はないという特徴がある。ところがこの女の子の場合寝ている時も尿意が起こり目を覚ますというのである。そのような場合の頻尿は精神的な原因ではなく、膀胱組織の異常による頻尿で、例えば間質性膀胱炎などのように膀胱の壁が固くなり、膀胱の容量が小さくなった場合である。膀胱が小さくなり尿をたくさん貯めることができないため尿の回数が増える。ところが泌尿器科の検査で膀胱の容量は正常であった。こうなると西洋医学的には頻尿の原因は不明ということになる。
 ところで漢方では腰の冷えるよる頻尿の場合がある。俗に腰が冷えて尿が近いというような頻尿である。このような頻尿に腰を温める漢方薬を処方する。現代医学的には腎臓の糸球体でろ過された尿の再吸収を高める結果、排泄される尿量が減るので頻尿がよくなる仕組みになっている。この場合最も注目すべきことは冷たいものをよく飲んだり食べたりして体を冷やしていたことで腰が冷え、尿が近くなったことである。そしてそれが冷え性や生理痛の原因にもなっている。
 そこで冷たいものを控え温かいものを飲むように厳重に注意した。冷えは万病のもとである。
 最近前立腺肥大症と言われ、昼間の尿の回数が多いという人が見えた。なんとか手術しないで治療できないかという。残尿が200cc近くもあると言われた。その割には夜間の尿の回数が2回と案外に少ない。すると精神的要因も大きいのではないかと考えたが、エコーの検査で前立腺の大きさを調べたところ確かに大きいし、残尿も多いので手術を勧めた。

テーマ : 医療・病気・治療
ジャンル : 心と身体

プロフィール

仲原靖夫

Author:仲原靖夫
昭和51年広島大学卒業、中部病院で外科の研修を終え、八重山病院、アドベンチスト・メディカルセンター、ハートライフ病院、屋比久産婦人科小児科東洋医学センターで西洋医学と東洋医学を併用した診療を続けてきた。現在、『仲原漢方クリニック』(沖縄県那覇市牧志)院長。

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東洋医学の雑記帳

仲原漢方クリニック院長のドクター仲原が、1992年から2001年まで、週刊レキオに東洋医学、漢方関連の記事を掲載していたものをまとめた本です。現代西洋医学と東洋医学の病気の考え方の違いや漢方についてわかりやすく解説されています。 冷えの害、不定愁訴について、漢方で癌は治せるか、リウマチと漢方、肩こりについて、風邪について、偏頭痛、不眠、関節痛、自律神経失調症など。

定価:1,000円(税込価格)

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