しばらく調子は良かったのだが

 漢方薬を飲んでしばらく調子は良かったのだが、薬が効かなくなったという人が最近目についた。一人は胃の具合が悪い人で食後胃もたれがしてあまり食事がとれないという方であった。胃腸の働きをよくする漢方薬でおなかがすいて調子が良いといっておられた。ところがしばらくするとまた胃もたれが出てきたという。薬が効かなくなっているというのである。ところが体重を見ると前より増えているので、「最近調子が良いので食べ過ぎているのではないですか」と聞くと、苦笑いして、そうかもしれないときた。今まで抑えられていた食欲が解放されてつい食べ過ぎたため調子が悪いというところでしょう、と食事の摂取量を抑えてもらった。
 もう一人の方は自律神経が不安定で無理ができないということで来られた。首の具合が悪いので針治療や鎖骨調整によりかなり良くなっていた。もちろん漢方薬は胃を温め元気を補う薬にした。しばらく調子が良かったのであるが、最近少し具合が悪いという。食欲や睡眠にも問題はなさそうであった。それで仕事の方はどうですかと聞いたら、順調だという。そこで最近頑張りすぎではないですかと聞いてみた。すると最近調子がいいので、孫の面倒も見て少し疲れたのかもしれないと言われた。あまり頑張りすぎないように、ペースを落とすように注意した。
 治療が順調であるのに悪くなった、あるいは薬が効かないと訴える場合がある。そのような時は治療により体が変化して、処方が合わなくなることを真っ先に考えるのであるが、処方は合っていても本人が無理をして体に負担をかけて薬が効かないように見える場合がある。胃の具合が悪くてあまり食べられなかったのに、少し食べられるようになったのでつい食べ過ぎたり、冷たいものをとったり不摂生して胃に負担をかけやすいことは想像しやすい。あるいは疲れやすくて元気がなくて仕事のペースを落としていたのに、治療により少し無理ができるようになってペースを上げると、見かけ上もとにもどって元気がなくなり薬が合わないように見えるのである。
 そのような場合は必ず生活に変化がないのか確認する必要がある。やっと良くなってきたのだから無理をすると元の木阿弥になることを納得してもらうのである。今まで食べられなかったり、動きが制限されたり不自由であったのが少々無理できるとなるとつい無理してしまう気持ちはわからないではないが。

テーマ : 医療・病気・治療
ジャンル : 心と身体

プロフィール

仲原靖夫

Author:仲原靖夫
昭和51年広島大学卒業、中部病院で外科の研修を終え、八重山病院、アドベンチスト・メディカルセンター、ハートライフ病院、屋比久産婦人科小児科東洋医学センターで西洋医学と東洋医学を併用した診療を続けてきた。現在、『仲原漢方クリニック』(沖縄県那覇市牧志)院長。

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東洋医学の雑記帳

仲原漢方クリニック院長のドクター仲原が、1992年から2001年まで、週刊レキオに東洋医学、漢方関連の記事を掲載していたものをまとめた本です。現代西洋医学と東洋医学の病気の考え方の違いや漢方についてわかりやすく解説されています。 冷えの害、不定愁訴について、漢方で癌は治せるか、リウマチと漢方、肩こりについて、風邪について、偏頭痛、不眠、関節痛、自律神経失調症など。

定価:1,000円(税込価格)

発行:(株)週刊レキオ社
(株)週間レキオ社又は全国の書店および「当クリニック」にて販売中

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