便秘について

 最近外来にみえる患者さんに虚証の便秘の人が目につくので便秘の治療について整理してみた。
 便秘にも虚実がある。実証の便秘は強い下剤を使って具合のいい場合で、一般的には身体ががっちりしていて、腹壁が厚く、緊張がよく、胃腸が丈夫で、肥りやすい、そしてめったに下痢することがない人に見られる。このような人は強い下剤で下すとすっきりする。強い下剤とは、大承気湯、小承気湯、調胃承気湯などの承気湯類や、桃核承気湯、大黄牡丹皮湯、通導散などの駆瘀血剤、また大柴胡湯などで、大黄や芒硝などの強い瀉下作用のある生薬が入っている。このような人は市販の下剤で対応してあまり問題がない。中には桃核承気湯を通常の倍量使ったり、強い下剤を二種類組み合わせたりしないと便がでない方もいる。また頑固な便秘で小学校の頃から漢方薬を飲み続けている方がいて、最初の頃は二種類の漢方薬の組み合わせで時間をかけて排便していたのに、二十台半ばになった最近では漢方薬も一種類になり、使用量も大分減り、便秘の程度もかるくなってきたというような例もある。
 さて問題は虚証の便秘である。虚証の便秘は胃腸の元気が無いため、便を押し出す力が弱くて便が出にくい場合をさす。一般的には痩せ型、皮下脂肪のつきが悪く、腹の緊張も弱い。また腹が張ってガスが貯まり、おならが多い傾向がある。このような場合、普通の下剤を使うと無理やり便を押し出しているような感じで腹が痛くなり、便が出た後、ぐったり疲れて気分が悪くなる。市販の下剤を使ってもすっきり便が出ない、腹が痛くてつかれるという点で治療が難しくなる。この場合の治療は胃腸を温めて元気にし、腸の蠕動運動を改善する事が基本になる。胃腸が元気になる処方は小建中湯や大建中湯、補中益気湯などである。冷えの強い場合は人参湯を使う場合もある。実際にはそれらの処方を症状に応じて組み合わせて使う場合が多い。例えば大建中湯と小建中湯、補中益気湯と大建中湯を組み合わせるなどである。イライラしてホルモンバランスの悪い場合は加味逍遥散が有効な場合がある。また年寄りで皮膚が乾燥している場合など兎の糞のようなコロコロ便が出る場合がある。このよう場場合は陰虚といい麻子仁丸などを使う。虚証の便秘の場合胃腸を元気にしてもいまひとつすっきり出ない時に麻子仁丸を寝る前に一包飲ませるとすっきりする場合もある。

テーマ : 医療・病気・治療
ジャンル : 心と身体

プロフィール

仲原靖夫

Author:仲原靖夫
昭和51年広島大学卒業、中部病院で外科の研修を終え、八重山病院、アドベンチスト・メディカルセンター、ハートライフ病院、屋比久産婦人科小児科東洋医学センターで西洋医学と東洋医学を併用した診療を続けてきた。現在、『仲原漢方クリニック』(沖縄県那覇市牧志)院長。

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東洋医学の雑記帳

仲原漢方クリニック院長のドクター仲原が、1992年から2001年まで、週刊レキオに東洋医学、漢方関連の記事を掲載していたものをまとめた本です。現代西洋医学と東洋医学の病気の考え方の違いや漢方についてわかりやすく解説されています。 冷えの害、不定愁訴について、漢方で癌は治せるか、リウマチと漢方、肩こりについて、風邪について、偏頭痛、不眠、関節痛、自律神経失調症など。

定価:1,000円(税込価格)

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