最近天気がおかしい

 最近天気がおかしい。四月に入っても最低気温が二十度以下で沖縄では冬を思わせる天気が続いていた。しかも最高気温が二十度を越すので、つい夏になったと思ってしまい、薄着にしたり、半袖で寝て体調を崩してしまう人を見かける。外来では風邪を引いて、風邪が治りにくいと訴える人が目に付く。
 そこで此の季節にはどのような心がけが望ましいのか整理してみた。
 夏のような天気が続くとつい早く衣替えをしてしまうが、あまりにも気温の変化が激しいと元気な人でも身体の調節が困難になる。体が調節できない分を補うのが衣服であるが、若い人ほどつい『これくらい』と高をくくって無理し、やせ我慢をしてしまう。すると咽をやられ、ついには炎症を起こし、上気道炎が出来上がってしまうのである。これは数年前までの私の経験である。季節の変わり目によくやられたので、よくよく観察してみて身にしみているのである。したがって比較的無理のきく人ほど強気で乗り切ろうとするので、やられ易いのではないかと思う。その教訓は当たり前のことであるが、無理をしないことである。衣替えは遅くてもいい、常に気温の変化に注意して、少し冷えていると感じたときは、面倒でも更に上から一枚重ねるくらいの気持ちのゆとりが必要である。強がらないことである。私は最近は余り自信も無いので、そのような対応をして此の冬は本格的に風邪を引かなかった。
 漢方を勉強し始めたころはどのような症状にどの処方がきくか、と薬を覚えるのに必死であった。ところが利きそうな薬がなかなか効かない。どうしたものかと思ってみていると養生がなっていないことが見えてきたのである。身体を冷やして風邪を引いたので、こちらは一生懸命温める治療をしているのに、本人は薄着をしたり、冷たい水を飲んだりして身体を冷やしているために薬が効かないことが見えてきた。つまり薬の処方には必ず適切な生活指導が併せて行なわれなければ十分な効果が得られない、と悟って薬の効きがよくなってきた。
 同じことは他の病気についても言える。的確なダイエット抜きでメタボリックシンドロームの薬物治療をしても効果が上がらないことにも共通の問題がある。食事や運動で体重のコントロールがうまくいかないと薬で血圧や検査値の数字あわせをしても病気がよくなるとも思えない。若いうちは、体重は増えても血圧や血糖、脂質などの検査値は正常に保たれるが、40、50代になると体の調節機能の限界を超え、定期検診の結果が異常を示し始める。食生活を初め、生活習慣を見直し、軌道修正をしないと根本的な解決にはならない。いやでも自分のありのままの生活を見つめ、面倒でも生活習慣を見直さなければならないのである。
 最近特に思うことは『若さとはあらゆることに健康を考慮することなくチャレンジできることである。』ということである。若い身体は睡眠不足、暴飲暴食など無茶を許してくれた。還暦をすぎ、苦い経験を重ねると体調管理、健康状態を考慮せずにあらゆる計画は立てられなくなった。しかし年をとると無理が利かないだけに病気の起こり方について身を以って理解し易くなってきた。

テーマ : 医療・病気・治療
ジャンル : 心と身体

プロフィール

仲原靖夫

Author:仲原靖夫
昭和51年広島大学卒業、中部病院で外科の研修を終え、八重山病院、アドベンチスト・メディカルセンター、ハートライフ病院、屋比久産婦人科小児科東洋医学センターで西洋医学と東洋医学を併用した診療を続けてきた。現在、『仲原漢方クリニック』(沖縄県那覇市牧志)院長。

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東洋医学の雑記帳

仲原漢方クリニック院長のドクター仲原が、1992年から2001年まで、週刊レキオに東洋医学、漢方関連の記事を掲載していたものをまとめた本です。現代西洋医学と東洋医学の病気の考え方の違いや漢方についてわかりやすく解説されています。 冷えの害、不定愁訴について、漢方で癌は治せるか、リウマチと漢方、肩こりについて、風邪について、偏頭痛、不眠、関節痛、自律神経失調症など。

定価:1,000円(税込価格)

発行:(株)週刊レキオ社
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