低炭水化物ダイエット最近の動向

 最近低炭水化物ダイエットがマスコミで正面から取り上げられるようになった。朝日新聞には日本糖尿病学会でも治療法のメニューの一つとして加えられたことが報道され、NHKの『クローズアップ現代』でも取り上げられた。従来の食事療法との違い、減量効果、HbA1Cに対する劇的降下作用などが紹介されていた。一方警戒する声も紹介された。主に空腹感が起りにくいためと思われるが、食事摂取が低下し、低栄養となり、血管の脆弱性が起こり、心臓病、腎臓病、などが悪化する可能性が大きいというものであった。
 低炭水化物ダイエットを勧めて約半年が経過した。その結果を見るとある程度の傾向が見られるようになってきた。
 余り時間のたっていない糖尿病の場合の高血糖にはこのダイエットで、本人の自覚が伴えば体重の減少を伴って、非常に効果的に血糖が下がる。また同時に高脂血症も改善されることが明らかになった。この場合、長期的な目標としては目標体重に達すると糖質制限の程度を緩和して、検査値を含めて全身の状態の経過をみなければならない。そしてその人が生涯にわたって糖質をある程度制限することを継続できるかということの答えを見つけならない。そしてその人たちの健康状態に特別な問題、ときに栄養障害が起こらないかを観察する必要があると思われる。ダイエットを続けて血糖が正常値で推移するといっても糖尿病が治ったわけではない。その人が炭水化物の摂取を抑えてインシュリンの需要を低下させて、膵臓の負担を軽くしているので、見かけ上血糖が正常に推移しているのである。膵臓を休ませると当然インスリンを産生するβ細胞の機能が回復してくことは考えられるので、膵臓の機能がどの程度正常に近づくかも興味のあるところである。今後の経過観察のためにするべきことは、患者が長期に治療を継続し経過を見るために、病気の理解と治療の意義について啓蒙を含めた患者教育が非常に重要になるということである。
 もう一つの課題はすでに糖尿病の治療を他所で始めて時間がたった症例について低炭水化物ダイエットがどうかということである。この場合、経口糖尿病薬や、インスリンの注射が導入され時間もたっており、膵臓の機能も相当低下している上に、血管障害も起こっており、動脈硬化による高血圧、心血管障害、腎障害、網膜の微小血管障害なども進行していく。また症例によって合併症の進行の程度も異なってくる。そうなるとダイエットと合併症に対する薬物管理が重要になる。従来の薬物量をあわせながら、低炭水化物ダイエットの効果を確認しなければならないがこのあたりになると糖尿病専門外来の仕事になる。従来の糖尿病外来で低たんすか佛ダイエットを実施したとき糖尿病の薬物療法がどのように変化するのか、私個人として非常に興味のあるところである。
 当院でできることは糖尿病の新鮮例、境界方、肥満高血圧などの症例に低炭水化物ダイエットを適応し、長期的に合併症を予防していくということでないかと考えている。すなわち未病に治めるということになる。

テーマ : 医療・病気・治療
ジャンル : 心と身体

プロフィール

仲原靖夫

Author:仲原靖夫
昭和51年広島大学卒業、中部病院で外科の研修を終え、八重山病院、アドベンチスト・メディカルセンター、ハートライフ病院、屋比久産婦人科小児科東洋医学センターで西洋医学と東洋医学を併用した診療を続けてきた。現在、『仲原漢方クリニック』(沖縄県那覇市牧志)院長。

リンク
書籍の紹介

東洋医学の雑記帳

仲原漢方クリニック院長のドクター仲原が、1992年から2001年まで、週刊レキオに東洋医学、漢方関連の記事を掲載していたものをまとめた本です。現代西洋医学と東洋医学の病気の考え方の違いや漢方についてわかりやすく解説されています。 冷えの害、不定愁訴について、漢方で癌は治せるか、リウマチと漢方、肩こりについて、風邪について、偏頭痛、不眠、関節痛、自律神経失調症など。

定価:1,000円(税込価格)

発行:(株)週刊レキオ社
(株)週間レキオ社又は全国の書店および「当クリニック」にて販売中

ブログ内検索
最近の記事
カテゴリー
月別アーカイブ