今日からあなたの人生は明るくなります

 ここで人生が明るくなるという意味は感覚的に視野における明るさが明るくなることを意味している。感覚的に明るく感じるので、二次的に心まで明るくなることに繋がることがあるかもしれない。どのようにして明るくなるのか、そのからくりを説明してみたい。外来に見える患者さんの多くは疲れやすい、休んでも疲れが取れない、肩こりや首筋の凝りがある、頭痛や頭重、気分がすっきりしないなどの訴えが多くみられる。
 このような場合、例外なく頚椎に問題がある。頸椎レントゲンの単純写真の正面像では、頸椎が左右に傾いたり、第一番目と第二番目の頸椎すなわち環椎、軸椎のバランスが悪かったり、棘突起が左右いずれかにずれたりする所見がいくつか組み合わされて観察される。棘突起というのは背骨の後方に突出した骨のことである。従来の所見では、頸椎の個々の椎体の骨の変形や椎体の間のクッションである椎間板の厚みが薄くなるなどの所見が注目されて、椎骨の捩れの所見はほとんど無視されている。また側面像では頸椎の生理的湾曲が前方に凸の前湾からストレートないしは後方に凸になる後弯に変化している所見が見られる。生理的湾曲の消失の意味も従来余り理解されていなかったが、首の症状が長引く場合に頸椎はまずストレートになり、さらに後方に突出する後湾に至ると仮定すると臨床的な経過が納得される。そしてレントゲン写真における正面や側面の変化が頭痛、頭重や首筋の凝りや肩こり、すっきりしない気分の悪さの原因になっているというのが、臨床的観察の結論である。
 頸椎の捩れや湾曲の治療をした後に頭や頚部の色々な症状が即座に軽快するので、頸椎の異常が不定愁訴の背景にあると考えるのである。その変化する症状の中に視野の明るさがある。治療のあと多くの患者さんが『先生ものがはっきり見えるようになりました。明るくなった感じがする』というのである。頚椎の異常は視力の調節や明るさにも関係があるらしいということを特に最近、頻回に経験するようになった。そこで治療の後に患者さんの視野が明るくなったことを確認して『今日からあなたの人生は明るくなります』とテレながらいうことにした。すると患者さんは間違いなくうれしそうに笑うのである。体の症状すなわち頭痛、頭重、頭がすっきりしない、肩こり、目がしょぼしょぼしてはっきり見えにくいなどの症状が取れると当然気分も良くなり、気持ちも軽くなるのは容易に理解できる。また視野も明るく感じるのは肉体的変化である。原因不明の不快感が瞬時に一掃されるので、当然気分的にもあかるくなるわけであるから、あの言葉は間違いないと思うのである。
 患者さんの頸椎や胸腰椎、骨盤のレントゲン写真を見ていると『生きるとは歪みを溜め込む過程である』と考えざるを得ない。多くの肩こり、頭痛、気分不良の人達が頸椎のゆがみという所見を呈しており、その成り立ちを考えるとき、その人のこれまでの生活習慣や日々の活動の結果による歪みと考えざるを得ないからである。すなわち利き腕、利き足を持つ人はその生活の場で四肢や胴体の筋肉の使い方に左右差を生じ、それが骨格の捩れに繋がると考えられるからである。特にストレス、過労、睡眠不足などはそれを助長するように見える。
 このような病気の考え方今は亡き真幸クリニックの上原真幸先生から盗ませていただいたものである。それについて伺ったとき、阿久津先生の『脅威の十次式健康法』という本を見せてくれた。それは脊椎骨盤の歪みを念力で治す治療法であるが、病気の成り立ちを脊椎や骨盤の歪み捩れという観点から理解していることが要点であると理解した。真幸先生は独自にすでにその考えかたで鎖骨調整、骨盤調整をやっておられた。また日本の民間療法の整体法はすでにそのような発想での治療であったようである。これは従来の整形外科が見落としてきた発想、治療法ではないかと思う。
 一般的な印象であるが現代医学は麻痺、知覚消失など気質的変化に伴う所見には敏感で思い切った対応をするたが、痛み痺れなど機能的な症状には余り興味を示さないように見える。

テーマ : 医療・病気・治療
ジャンル : 心と身体

プロフィール

仲原靖夫

Author:仲原靖夫
昭和51年広島大学卒業、中部病院で外科の研修を終え、八重山病院、アドベンチスト・メディカルセンター、ハートライフ病院、屋比久産婦人科小児科東洋医学センターで西洋医学と東洋医学を併用した診療を続けてきた。現在、『仲原漢方クリニック』(沖縄県那覇市牧志)院長。

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東洋医学の雑記帳

仲原漢方クリニック院長のドクター仲原が、1992年から2001年まで、週刊レキオに東洋医学、漢方関連の記事を掲載していたものをまとめた本です。現代西洋医学と東洋医学の病気の考え方の違いや漢方についてわかりやすく解説されています。 冷えの害、不定愁訴について、漢方で癌は治せるか、リウマチと漢方、肩こりについて、風邪について、偏頭痛、不眠、関節痛、自律神経失調症など。

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