顎関節症

  現代医学的にわかりにくい病気に顎関節症がある。顎関節の違和感を気にしているうちに口があけにくくなり、無理に開けると顎関節に激痛が起こり、摂食に支障を来たし、著しく日常生活を不快にする病気である。最終的には関節軟骨が磨り減って痛みで口が開かなくなるという。
  当院の外来では重症で末期の進行例を見る機会はないが、初期から少し進んだ状態の患者さんを見ることが時々ある。
  顎関節の違和感を訴える人には神経質な人が多いような印象を受ける。漢方治療を行なっていると肩凝りや頭痛、眩暈、動悸など自律神経の症状を訴えることが多く、同時に頸椎の異常を認めることが一般的である。頚椎の異常は自律神経に大いに関係しており、針治療を施し、主に頚椎の捩れにたいして鎖骨調整頸を加えると、肩凝りや頭痛とともに意図せずして顎の痛みや違和感が取れることをしばしば経験した。
  その結果 顎関節症、自律神経失調、頸椎の異常が関連しているということが自然に了解されてきたのである。それ以来顎関節の異常の基は頸椎の異常にあるという考えで治療して効果を挙げてきた。何年も顎の痛みで悩んできたのが2~3回の治療でほとんど治ってしまう。
  歯科では歯の咬みあわせの調整を先にして、そこから顎関節の治療に結び付けようとするのが一般的のようであるが、当院における臨床経験からすると本末転倒に思えて仕方がない。
  頚椎の異常は上半身の不定愁訴の人たちに一般的に見られる所見で、自律神経の異常や、偏頭痛、四十肩、五十肩などの原因はそこにあるといっても過言でないほどである。それらの症状に対して漢方薬や鍼灸で治療するとよくなるということは、それらの治療が頚椎の異常に対し有効に作用していると考えてよいだろ。
  一般的に病気はその未病の状態、すなわち正常から少しはずれて何となくおかしいという段階を見ているとどこに問題があるのかわかりやすいし、軌道修正も比較的楽にできる、すなわち治しやすいあるいは予防しやすいといえる。
  顎関節症についても同じことが言えると思う。

テーマ : 医療・病気・治療
ジャンル : 心と身体

プロフィール

仲原靖夫

Author:仲原靖夫
昭和51年広島大学卒業、中部病院で外科の研修を終え、八重山病院、アドベンチスト・メディカルセンター、ハートライフ病院、屋比久産婦人科小児科東洋医学センターで西洋医学と東洋医学を併用した診療を続けてきた。現在、『仲原漢方クリニック』(沖縄県那覇市牧志)院長。

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東洋医学の雑記帳

仲原漢方クリニック院長のドクター仲原が、1992年から2001年まで、週刊レキオに東洋医学、漢方関連の記事を掲載していたものをまとめた本です。現代西洋医学と東洋医学の病気の考え方の違いや漢方についてわかりやすく解説されています。 冷えの害、不定愁訴について、漢方で癌は治せるか、リウマチと漢方、肩こりについて、風邪について、偏頭痛、不眠、関節痛、自律神経失調症など。

定価:1,000円(税込価格)

発行:(株)週刊レキオ社
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