子供たちを診て思うこと

  7、8年も前のことになるか通院中の母親から相談を受けたことがある。『先生うちの子の飛び火が治らないうちに、アトピーも混じっているといわれたんですけど、子供もみてもらえますか?』。診てみると青白い顔をした8ヶ月の男の子で、皮膚は乾燥して艶がない。所々引っかいて化膿しており、化膿止めを飲んでもよくならないという。また鼻水をたらして咳をしている。身体を冷やすようなことをしているのではないかと聞いたら、水を欲しがるので冷たいポカリを欲しがるだけのまして、暑がるのでクーラーを強にしているという。そこで、冷たいものを禁じて温かいものを与え、風呂に入れて温め、汗をかくようにすること、クーラーはできるだけ弱くすることをなどを指示した。其の上で鼻水をとめ皮膚をあたためる漢方薬を処方したら1週間後にはよくなった。
  現在もこれと同様のことが小児から大人までに起こっていることを日常診療でみている。すなわち冷たい飲み物をガブ飲みすると腹が冷える。すると身体は冷えた部位を温めようと反射的に熱を帯びる。それは口腔から食道、胃にかけての熱感となり、更に口の渇きを助長し冷たいものを飲む。それが悪循環を形成し、身体は冷え、食欲は低下し、元気がなくなるのである。また冷えると汗をかかないので暑く感じてクーラーを強め、内と外から身体を冷やすことになる。すると皮膚の痒みが起こり、掻きむしる結果アトピーへと移行していく。くしゃみ、鼻水の鼻炎が始まり、風邪をひきやすく、治りにくくなる。其のうち咳が喘鳴に変わり、喘息と診断される。また身体がだるく、意欲がわかない。朝起きられないので学校をやすみ不登校になる。このような病態のいずれかの段階に多くの子供たちがある。
  いまや国民病といわれるアトピーや鼻炎、喘息が冷たいものを飲むという何気ない日常の出来事からスタートしているのである。
  漢方の代表的な古典に『傷寒論』がある。漢方には冷えすぎることが病気の原因になるという基本的な考えがあり、寒によって障害される病態を論じている。気候の変化で外から冷やされること、現代ではクーラーがある。内から冷えること、冷蔵庫で冷やされた果物や清涼飲料水がそれである。これは現代医学にはない考え方で、検査では捉えられず、小児科で注意されることはまずない。従って延々と対症療法を続け、根治できないことになる。
  身体を冷やすことの健康への害ということを小児、学童、成人の健康管理の基本にすえるべきであると考える。

テーマ : 医療・病気・治療
ジャンル : 心と身体

プロフィール

仲原靖夫

Author:仲原靖夫
昭和51年広島大学卒業、中部病院で外科の研修を終え、八重山病院、アドベンチスト・メディカルセンター、ハートライフ病院、屋比久産婦人科小児科東洋医学センターで西洋医学と東洋医学を併用した診療を続けてきた。現在、『仲原漢方クリニック』(沖縄県那覇市牧志)院長。

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東洋医学の雑記帳

仲原漢方クリニック院長のドクター仲原が、1992年から2001年まで、週刊レキオに東洋医学、漢方関連の記事を掲載していたものをまとめた本です。現代西洋医学と東洋医学の病気の考え方の違いや漢方についてわかりやすく解説されています。 冷えの害、不定愁訴について、漢方で癌は治せるか、リウマチと漢方、肩こりについて、風邪について、偏頭痛、不眠、関節痛、自律神経失調症など。

定価:1,000円(税込価格)

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