最近アトピー性皮膚炎で気付いたこと

  最近口コミで皮膚疾患の患者さんが多く見える。ついでにアトピー性皮膚炎の患者さんも多いのでいろいろ勉強させられる。すると新しい発見も少しずつ加わってくる。改めて感じることはアトピーも結局皮膚の冷えに起因するのではないかということである。
  アトピーの場合真っ赤な顔、真っ赤な皮膚、触ると熱い皮膚がまず目に付くので、つい熱を冷ますことを考える。その赤い色を覚ますのが西洋医学のステロイド軟膏である。ステロイド軟膏は炎症を抑える作用が強いので炎症の起こる病気の治療の目玉になっている。炎症を抑えるということは熱を冷ますことであるから言い換えると体を冷やす作用になる。ところがアトピー性皮膚炎の場合その前に鼻炎や喘息の治療をしていた人もよく目に付くので、もともと冷えた状態から起こっていることが考えられる。つまり皮膚には炎症があり、表面に熱を持っているが、その根っこはどうも冷えが絡んでいるようなのである。中には炎症を抑えるようなアトピーの治療を始めたら鼻炎や喘息が悪くなるひともいるので、いよいよそれは本当らしいということになった。さらにステロイド軟膏を中止したらリバウンド現象で皮膚炎が悪化するがそのときの漢方薬もやっぱり炎症を抑える薬になる。ステロイド軟膏で冷えた体を更に冷やすため、寒がったり、元気がなくなったり、食欲が落ちたり、下痢をしたりすることおこるのでいよいよ冷えに注目する必要に迫られる。そんなときは体の芯を温める治療を加える必要がある。
  先日の東洋医学会では特にアトピーの治療に注目が集まった。昭和30年代から40年代漢方外来でアトピーは非常に少なかったのに最近では70%がアトピーの患者であるという。漢方外来でアトピーの占める割合が大きくなっており、確実な漢方的対応が求められているとのことであった。漢方界におけるアトピーの第一人者の先生の意見でも冷えに注目する話があった。ストレスの問題、胃腸虚弱の問題、などが冷えの原因になり、アトピーの悪化に関係しているとの指摘もあった。これらのいずれも問題も外来診療の経験で思い当たる節がある。
  いずれにしてもアトピーは皮膚の炎症であるが、現代病の代表の一つで、ライフスタイル、環境、体質特に胃腸虚弱や腎虚すなわち冷え症などが複雑に絡んだ病態が基礎にあるので、それらに対する治療が根本治療になるという結論であった。

テーマ : 医療・病気・治療
ジャンル : 心と身体

プロフィール

仲原靖夫

Author:仲原靖夫
昭和51年広島大学卒業、中部病院で外科の研修を終え、八重山病院、アドベンチスト・メディカルセンター、ハートライフ病院、屋比久産婦人科小児科東洋医学センターで西洋医学と東洋医学を併用した診療を続けてきた。現在、『仲原漢方クリニック』(沖縄県那覇市牧志)院長。

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東洋医学の雑記帳

仲原漢方クリニック院長のドクター仲原が、1992年から2001年まで、週刊レキオに東洋医学、漢方関連の記事を掲載していたものをまとめた本です。現代西洋医学と東洋医学の病気の考え方の違いや漢方についてわかりやすく解説されています。 冷えの害、不定愁訴について、漢方で癌は治せるか、リウマチと漢方、肩こりについて、風邪について、偏頭痛、不眠、関節痛、自律神経失調症など。

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