沖縄健康歳時記2 冬に悪くなる病気

  冬になると悪くなる病気にはいくつかあります。まず風邪です。その最も重症な状態がインフルエンザで予防接種が行なわれています。また鼻炎や喘息があります。これらは呼吸器系の病気で、冷たい乾いた空気が鼻空や気管支を通して身体の中に出入りする際、吸った空気に湿り気と熱を与え、湿度100%、温度37度にする働きが十分でないこと、すなわち身体が冷えて抵抗力が落ちたために起こる病気と考えられます。
  私が以前勤務していた、皮膚疾患の患者さんの集まる評判の病院で、3月から4月初めのある日、突然湿疹や飛び火の患者さんが増えることに気がつき、びっくりしたことがあります。高温多湿の沖縄では夏になると炎症を起こして熱をもつジクジク汁が出るような皮膚の病気が増えたり悪くなったりするようです。皮膚の病気が増えることにより夏の到来を告げておりました。病気の頻度が季節によってドラマチックに変化することを興味深く経験しました。
  漢方では季節や環境の変化に対する人体の調節機能が追いつかないために病気が起こると考えます。皮膚の病気も季節や生活環境の変化を受けているので漢方でうまく対応できることが少なくありません。
  今回は冷たい乾いた空気が皮膚に作用することによって起こる病気について紹介したいと思います。
  皮膚は人体を外部の変化から守る防御機能を持っております。汗をかいたり止めたり、表面を引き締めたり緩めたりして体温調節に大きな役割を担っております。皮下を通る静脈や動脈も暑い夏は表面に浮き上がり、熱の放散を効率よく行い、寒い冬は皮下深く沈んで熱が逃げにくくするような対応をしております。汗には皮脂が含まれて皮膚をしっとりと滑らかにする作用があります。漢方薬はこれらの皮膚の調節作用を助けることにより皮膚の病気の治癒力を高める作用を発揮するようです。
  冬になると皮膚が乾燥してきます。汗をかくことが少ないので特に身体の水分の少ないお年寄りや、冷え症で汗をかきにくい人に乾燥肌で痒みを訴えることが多いようです。これらの場合には皮膚の血流を増やし、潤いを増すような漢方薬をつかいます。お年寄りでは八味地黄丸で身体を温め皮膚にも潤いをあたえ、冷え症の人では当帰飲子などで皮膚の血流を増やし潤いを与える効果を発揮します。また軟膏でも血流を良くし、皮膚に潤いを与えるような紫雲膏などを併用します。また一般的な保湿クリームも効果を発揮するようです。食事では甘いものや冷たいものを避けるように指導しております。
  湿疹やアトピー性皮膚炎でも夏場の湿度の高い時期に悪くなるジクジクタイプと、冬の乾燥した時期に悪くなるかさかさタイプがあります。またステロイド軟膏を使用した湿疹ではその使用を止めると湿疹はジクジクタイプになることが多いようです。最近ステロイドを止めても皮膚のジクジクがあまりひどくならないので、ジクジクタイプの湿疹は冬場に治りやすいのではないかと思われます。乾燥した冬場はジクジクタイプの皮膚の病気を治すチャンスといえそうです。

テーマ : 医療・病気・治療
ジャンル : 心と身体

プロフィール

仲原靖夫

Author:仲原靖夫
昭和51年広島大学卒業、中部病院で外科の研修を終え、八重山病院、アドベンチスト・メディカルセンター、ハートライフ病院、屋比久産婦人科小児科東洋医学センターで西洋医学と東洋医学を併用した診療を続けてきた。現在、『仲原漢方クリニック』(沖縄県那覇市牧志)院長。

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東洋医学の雑記帳

仲原漢方クリニック院長のドクター仲原が、1992年から2001年まで、週刊レキオに東洋医学、漢方関連の記事を掲載していたものをまとめた本です。現代西洋医学と東洋医学の病気の考え方の違いや漢方についてわかりやすく解説されています。 冷えの害、不定愁訴について、漢方で癌は治せるか、リウマチと漢方、肩こりについて、風邪について、偏頭痛、不眠、関節痛、自律神経失調症など。

定価:1,000円(税込価格)

発行:(株)週刊レキオ社
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