アトピーでステロイド軟膏中止するとどうなるか

  アトピー性皮膚炎は漢方で治るか?という疑問について今は治ると答えられる。ただし、それは生活指導上の注意を厳格に守った上で漢方薬を飲みスキンケアを的確におこなってのことである。すなわち甘いもの、油脂類の摂取、冷たい飲食物を控えるということを徹底した上でのことである。時間はかかるが適切な漢方処方を続けると確実によくなっていく。
  唯一つ問題がある。ステロイド軟膏を使用している場合である。ステロイドを使用しているとそれによってどの程度症状が抑えられているのかがわからない。するとステロイドを止めたときにどの程度まで悪くなるのかが予測できないために、症状に対してどこまで我慢すればよいのか説明できなかった。
  最近 下腿の湿疹をずっとステロイド軟膏で抑えていた患者さんを治療する機会があった。長い付き合いなので、ステロイド軟膏を止めたら一時的に症状がひどくなることを納得してもらって軟膏を止めてもらった。中止前の湿疹の程度は直径2から3cm程度。ステロイドの代わりに漢方薬の内服と軟膏を使用した。二週間おきに観察したところ湿疹はどんどん広がっていった。湿疹の赤味は下腿全体まで広がった。一部掻きむしられて汁が出るほどであった。三ヶ月ほどは徐々に広がっていった。四ヶ月目になって湿疹が枯れだしてピークが過ぎたと思われた。
  これは貴重な経験であった。ステロイドで抑えられた湿疹は止めると10倍以上にも広がることがわかったからである。もし全身にステロイド軟膏を塗っていたのをやめたらどこまで症状がひどくなるか、ある程度想像が可能になったからである。多くの場合間違いなく症状が全身に広がると思われる。従って患者さんは相当難儀することはまちがいない。すくなくとも4ヶ月ほどはどんどん悪くなるか、悪いまま、変らない状態が続くこと覚悟してもらわないといけないようである。掻きむしって汁が出る状態がしばらく続き、乾燥して皮膚がポロポロ落ちるようになると峠を越したようで、後は少しずつよくなっていく。落ち着くのに一年かかることもある。いずれにしても長期戦を最初から念頭におく必要がある。すると少なくともゴールはあることがわかる。
  ただそれに耐えられるかが問題である。
  それが無理な場合はステロイドを併用しながら少しずつ減らしていくことなるだろう。それはまだ試しておらず今後の課題である。

テーマ : 医療・病気・治療
ジャンル : 心と身体

プロフィール

仲原靖夫

Author:仲原靖夫
昭和51年広島大学卒業、中部病院で外科の研修を終え、八重山病院、アドベンチスト・メディカルセンター、ハートライフ病院、屋比久産婦人科小児科東洋医学センターで西洋医学と東洋医学を併用した診療を続けてきた。現在、『仲原漢方クリニック』(沖縄県那覇市牧志)院長。

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東洋医学の雑記帳

仲原漢方クリニック院長のドクター仲原が、1992年から2001年まで、週刊レキオに東洋医学、漢方関連の記事を掲載していたものをまとめた本です。現代西洋医学と東洋医学の病気の考え方の違いや漢方についてわかりやすく解説されています。 冷えの害、不定愁訴について、漢方で癌は治せるか、リウマチと漢方、肩こりについて、風邪について、偏頭痛、不眠、関節痛、自律神経失調症など。

定価:1,000円(税込価格)

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