病気の原因(1)

  人はなぜ病気になるのだろうか。改めて整理してみた。
  漢方では病気の原因を外因、内因、不内外因に分けている。
  外因とは外界の気候の変化によるもの。その代表が冬の寒さで風邪の原因になる。その他は風、暑、燥、湿、火となっている。外界の変化であるから体感できるので外因への比較的対応はやさしいと思われる。その土地にはその土地特有の気候の変化があるので伝統的な過ごし方の中にそのノウハウは入っている。
  今年は梅雨になって湿度による影響が目に付いた。喘息、リウマチ、浮腫などが悪くなった人がいた。
  自然の季節変化以外では新しい科学技術によってもたらされる環境の変化は伝統的な対応がないので要注意である。例えばクーラーである。夏は暑いのでクーラーのお世話になる。それは夏に冬の対応を必要とするが、理解していないと深刻になる。また わかっていても対応が困難な場合もある。例えば職場でクーラーの温度設定が低くされている場合である。個人で意識的な防寒対策が必要となる。またクーラーは温度と同時に湿度が低くなるので、体の水分の割合が比較的少ない老人の場合、気道の乾燥に注意が必要である。わけのわからない咳の原因となるからである。
  次に内因である。内因とは喜怒悲思憂恐驚の七情である。それらは人間の基本的感情の問題であるから最も身近なものである。普通、喜怒哀楽は人生模様を豊かにするものであるが、それが強すぎると病気の原因になる。激しい怒り、深い悲しみ、強い恐れ、驚きなど何らかの方法で解消されないとその感情しこりは大脳辺縁系に作用して身体内部へと向かい、内分泌系、自律神経系の不安定さをもたらす。パニック障害、過呼吸、動悸、下痢、腹痛など自分でコントロールできない症状が起こってくる。
  さらに不内外因がある。過労、不適切な食事によるもの、或いは外傷、動物咬傷などである。外傷などは現代医学による対応が確立されているのでここでは問題にしない。不適切な食事は口から入る冷えの害として繰り返しのべた。また過食の害はメタボリックシンドロームとして現在注目されている。
  以上は古典的な漢方の病気の原因に対する考え方である。最近では社会のシステムの大きな変化、科学技術の進歩に伴う生活環境の変化などから病気の原因についても一筋縄ではいかなくなっている。いろいろな原因が複合的に作用してくるので伝統的な病気の原因を基本にしながらいろいろ考え合わさなければならない。

テーマ : 医療・病気・治療
ジャンル : 心と身体

プロフィール

仲原靖夫

Author:仲原靖夫
昭和51年広島大学卒業、中部病院で外科の研修を終え、八重山病院、アドベンチスト・メディカルセンター、ハートライフ病院、屋比久産婦人科小児科東洋医学センターで西洋医学と東洋医学を併用した診療を続けてきた。現在、『仲原漢方クリニック』(沖縄県那覇市牧志)院長。

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東洋医学の雑記帳

仲原漢方クリニック院長のドクター仲原が、1992年から2001年まで、週刊レキオに東洋医学、漢方関連の記事を掲載していたものをまとめた本です。現代西洋医学と東洋医学の病気の考え方の違いや漢方についてわかりやすく解説されています。 冷えの害、不定愁訴について、漢方で癌は治せるか、リウマチと漢方、肩こりについて、風邪について、偏頭痛、不眠、関節痛、自律神経失調症など。

定価:1,000円(税込価格)

発行:(株)週刊レキオ社
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