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難治性便秘について

 たまに便秘を訴えて漢方外来に来られる方がおられる。普通の下剤では強すぎて気分が悪いといわれる。そのような方は殆んど胃腸の弱い方である。胃腸の丈夫な人の便秘は市販の下剤で便がスムーズにでるので、すっきりして気分がよいようである。ところが普通の下剤では腹が痛くなり、無理やり便を押し出しているように気分が悪くなり、あまり飲みたくないといわれる。それはあたかも疲れた人に鞭打って無理やり働かせているようなニュアンスではないかとイメージして患者さんに確認することにしている。
 そのような便秘の治療は、疲れた腸を励ましいたわるように扱わなければならない。疲れているのなら無理しなくていいというように漢方には優しい下剤がある。それでまず始めるのであるが、それでもうまくいかない場合には腸を温め元気づけるような処方を併用する。あたかも疲れた人を励まし元気づけるようなニュアンスの漢方処方である。補中益気湯(ほちゅうえっきとう)や大建中湯(だいけんちゅうとう)などの処方がそれで、それらの漢方薬は腹を温め元気にするような効果があり、疲れた腸を温め励まして便を運んでもらうようなニュアンスになり、気持ち よく出て非常に喜ばれる。
 このように便の出にくい便秘の症状でも病気の成り立ちの差で治療が微妙に異なり、スムーズな排便を導けたときに治療する側もうれしくなることをしばしば経験している。胃腸に元気がないときの便秘は要注意である。

テーマ : 医療・病気・治療
ジャンル : 心と身体

最近の風邪の漢方処方

 漢方というと真っ先に出てくるのが葛根湯(かっこんとう)であるが、それは風邪のひきはじめで何となく寒気がして頭痛や首コリがする、風邪の初期の処方である。風邪の初期には葛根湯や、麻黄湯(まおうとう)など比較的簡単な症状の決まった処方を使う機会が多かったように思う。
 ところが最近では状況が変わってきた。
 コロナが流行して発熱外来に風邪の患者が集中するようになったら、内科で解熱剤を処方されて在宅で経過を観察するような対応になり、風邪の病状が変化してしまう。くしゃみ、鼻水、鼻づまり、食欲不振、寝汗、咳、喀痰、咽頭痛など病状が進んで、それから一般外来を受診するようになった。すると葛根湯や麻黄湯などのようなシンプルな処方では済まなくなる。鼻水や咽喉の痛み、食欲不振、咳、粘っこい喀痰などの症状を併せ持った、いわばこじれた風邪の状態で来院するようになった。すると処方も二種類、三種類と組み合わせた複雑なものにならざるを得ない。診たてもより複雑になり、葛根湯合小柴胡湯加桔梗石膏(かっこんとうごうしょうさいことうかききょうせっこう)のように以前はあまり見かけなかった処方をするようになった。そうすると簡単には症状が改善しない場合も散見される。
 二十世紀初めにスペイン風邪というパンデミックが起こった。こじれた風邪の症状が見られ、同様な状況でより重症になったのではなかったかと想像する。

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プロフィール

仲原靖夫

Author:仲原靖夫
昭和51年広島大学卒業、中部病院で外科の研修を終え、八重山病院、アドベンチスト・メディカルセンター、ハートライフ病院、屋比久産婦人科小児科東洋医学センターで西洋医学と東洋医学を併用した診療を続けてきた。現在、『仲原漢方クリニック』(沖縄県那覇市牧志)院長。

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書籍の紹介

東洋医学の雑記帳

仲原漢方クリニック院長のドクター仲原が、1992年から2001年まで、週刊レキオに東洋医学、漢方関連の記事を掲載していたものをまとめた本です。現代西洋医学と東洋医学の病気の考え方の違いや漢方についてわかりやすく解説されています。 冷えの害、不定愁訴について、漢方で癌は治せるか、リウマチと漢方、肩こりについて、風邪について、偏頭痛、不眠、関節痛、自律神経失調症など。

定価:1,000円(税込価格)

発行:(株)週刊レキオ社
(株)週間レキオ社又は全国の書店および「当クリニック」にて販売中

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