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円形脱毛とストレス

 円形脱毛で禿げができたと訴えて見える患者さんがたまにおられる。いつのまに十円玉の大きさの禿げが頭皮にできてショックを受けてこられるのである。原因は不明であるが、成書にはストレスが原因であるとする記述もあり、そのストレスがどのようにかかわっているのかが問題である。多くの場合は禿を問題にしてこられ、ストレスを訴えることはほとんどないから、こちらからストレスが原因といわれてもピンとこないようである。そのストレスについての記載を教科書で見るとストレスをストレスと感じない程に気丈夫な人に起こるとあったように記憶している。つまり本人はこれくらいのストレスは何でもないと強気で立ち向かって気にしていないようであるが、無意識の本音の部分では大分応えてはいるようなストレスの感じ方のようである。
 そこで『ストレスはありませんか』と本人に聞いてみてもストレスはあまり気にしていないような返事が返ってくるので、もしストレスがあるのなら差支えのない親しい人に弱音を吐いてくださいということにしている。
 先日円形脱毛を訴える女性が見えた。例によって、もしストレスがあるのなら差し支えないところで吐き出してくださいと告げて、漢方薬を処方した。そしたら次の外来が劇的であった。『先生ありがとうございました。最近勤務が厳しく困っていたのですが、おかげで上司に話すことができて負担を軽くするように調整してもらうことができました。』と救われたような顔で話された。
 漢方でこのような場合はストレスを原因とする体の不調に合わせて処方が組まれているのであるが、原因となるストレスの解決、軽減がより治療の根本にあり、その生活指導が問題なのではないかと最近強く感じるようになった。

テーマ : 医療・病気・治療
ジャンル : 心と身体

化膿性の皮膚疾患で注意すべきこと

 湿疹などの皮膚の病気は漢方薬の内服で症状が改善する場合が少なくないので、湿疹の患者さんを見る機会は少なくない。その治療中において特に注意していることがある。アルコールや甘いものの摂取を控えることである。漢方の教科書では注意されているが、一般的にはあまり注目されていないので取り上げてみた。
 湿疹や吹き出物は病気のメカニズムとしては皮膚の炎症反応である。炎症ということは発熱した状態であるから、湿疹のある人がお酒を飲むことは、作用としては熱に熱を加えたことになるから、悪化することは比較的理解しやすいのではないかと思う。では甘い砂糖はどうだろうか?
 漢方の教科書に砂糖の効果について調べてみたがそれらしいことの記載は見つからない。すると砂糖の皮膚疾患に対する悪影響は経験的なものかもしれないと思った。子供の「とびひ」など、注意しないとお菓子を食べすぎて化膿している子供たちがいる。若い人たちでニキビの治りにくい人でも甘いものの摂りすぎに注意するように指導すると苦笑いをされることが多い。身に覚えがあるのである。皮膚の傷は糖分を摂りすぎると化膿してくるのである。
 治療のためには一度は徹底的に甘いものを控えるように注意して漢方薬を処方すると、皮膚の症状が落ち着いてくるのをよく経験している。そこでお互いに納得したうえで、治療のためにアルコールや甘いものは控えましょうと言うことにしている。すると症状が軽快して納得してもらえることが多い。

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プロフィール

仲原靖夫

Author:仲原靖夫
昭和51年広島大学卒業、中部病院で外科の研修を終え、八重山病院、アドベンチスト・メディカルセンター、ハートライフ病院、屋比久産婦人科小児科東洋医学センターで西洋医学と東洋医学を併用した診療を続けてきた。現在、『仲原漢方クリニック』(沖縄県那覇市牧志)院長。

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書籍の紹介

東洋医学の雑記帳

仲原漢方クリニック院長のドクター仲原が、1992年から2001年まで、週刊レキオに東洋医学、漢方関連の記事を掲載していたものをまとめた本です。現代西洋医学と東洋医学の病気の考え方の違いや漢方についてわかりやすく解説されています。 冷えの害、不定愁訴について、漢方で癌は治せるか、リウマチと漢方、肩こりについて、風邪について、偏頭痛、不眠、関節痛、自律神経失調症など。

定価:1,000円(税込価格)

発行:(株)週刊レキオ社
(株)週間レキオ社又は全国の書店および「当クリニック」にて販売中

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