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漢方外来を受診する前に

 クリニックにはいろいろな訴えの患者さんが来られる。現代医学的にうまくいかない場合に漢方の立場から病気を眺めて治療法を探るということを売りにしている当院では当然のことではあると思われる。
 ところが当院の対応能力にも限界があるので中には断らざるを得ないこともある。それは特殊な専門領域の病気などの場合である。つまり、自分の専門外領域の特殊な病気について評価できないときに問題になる。
 あるとき耳が聞こえにくいという老人が見えた。耳鼻科でちゃんとした検査を受けないで、漢方で何とかしてほしいというのである。私は耳鼻科の専門ではないので聴力の検査はできないし、専門的な診断をつけることはできないので、まずは耳鼻科を受診してくださいとお断りしたのである。加齢による難聴の場合に八味地黄丸がいいとされるが、専門的な評価なしに処方する訳にもいかないので、耳鼻科の受診を勧める。
 眼科の病気についてもそうである。網膜の病気など、眼科の専門的な検査でないと病気の診断・評価はできない。診断がついて病気の成り立ちが分かり、眼科の治療がおこなわれ、その限界がある場合に、先人の経験を参考にして漢方薬を追加する余地が見えてくる。
 漢方薬が、ある皮膚科の疾患によく効くばあいがあるのは自分の経験でも間違いないが、そのおかげで皮膚疾患の難しい病気の方が初診でみえる場合があり、困ることがある。できれば初診は皮膚科で診断をつけてもらって治療を受け、思わしくない場合に漢方薬を試してみるのがよいと説明し、漢方でうまくいかない場合にはこちらから皮膚科を受診させることもある。
 このように自分の専門領域であれば西洋医学的評価あるいは治療の可能性がわかるから、初診で見えても診察で評価できるので、漢方薬での治療を始めやすい。つまり漢方薬による治療は西洋医学の診断を受けて病態を理解し、その上で漢方の病気の考え方の特性を活かすように、補い合って診療するのが現状においてはベストではないかと考える。
 頻度の多い訴えすなわち頭痛、感冒、痛み、食欲不振、腹痛、下痢などの症状であれば専門的な診療の必要は診察をして決めればよいのであるが、最初から専門的な特殊な病気の場合にはまずは専門科目を受診してほしいと考えるのである。

テーマ : 医療・病気・治療
ジャンル : 心と身体

口臭について

 時に口臭が気になるという人が見える。歯科で虫歯をチェックし、歯茎の掃除をし、うがいをこまめにしてもよくならないというのである。
 口臭は漢方では胃熱という。つまり胃のあたりに熱があり、そのために匂いが強く出てくるのである。例えば気温が高いと液体は蒸発しやすく、動きも活発になり拡散しやすくなるので、胃に熱があると匂い物質も目立つようになると考えるのである。この場合の熱は口の中が熱っぽい、口が乾きやすい、つばが粘るなどの症状を指す。
 すると臨床的には胃熱はどういうときに起こるかということが問題で、それを知らないと根治には至らないことを説明している。睡眠不足、ストレスによる緊張では内熱が発生し口が乾く。すると冷たいものを飲んで口腔を冷やそうとする傾向が見られるが、口の中や胃を冷やすと体は冷えた部分を温めようと更に熱を出し、余計に胃熱が悪化する。教科書ではこってりとしたものを食べて胃熱が助長されているとも書いてあるが、それよりは過労やストレス、睡眠不足などが原因のことが多い印象を受ける。
 調子が悪くなったころ何かトラブルでもなかったか確認する必要があり、そのあたりを指摘し、問題を解決するほうが根治につながることを理解してもらう必要がある。
 具体的な漢方処方では半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)を使うことが多い。そして冷たいものを控えるように、ストレスになっている問題は解決するように、睡眠を十分とるように指導する。

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プロフィール

仲原靖夫

Author:仲原靖夫
昭和51年広島大学卒業、中部病院で外科の研修を終え、八重山病院、アドベンチスト・メディカルセンター、ハートライフ病院、屋比久産婦人科小児科東洋医学センターで西洋医学と東洋医学を併用した診療を続けてきた。現在、『仲原漢方クリニック』(沖縄県那覇市牧志)院長。

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書籍の紹介

東洋医学の雑記帳

仲原漢方クリニック院長のドクター仲原が、1992年から2001年まで、週刊レキオに東洋医学、漢方関連の記事を掲載していたものをまとめた本です。現代西洋医学と東洋医学の病気の考え方の違いや漢方についてわかりやすく解説されています。 冷えの害、不定愁訴について、漢方で癌は治せるか、リウマチと漢方、肩こりについて、風邪について、偏頭痛、不眠、関節痛、自律神経失調症など。

定価:1,000円(税込価格)

発行:(株)週刊レキオ社
(株)週間レキオ社又は全国の書店および「当クリニック」にて販売中

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